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不動産売買における手付金に関する主なトラブルと対策

不動産の売買取引では、売買契約を締結する際に買主が売主に対して、売買代金の一部を手付金として支払いますが、この手付金を巡ってトラブルになるケースが少なくありません。

手付金のトラブルは、売買契約の解除や金銭的な負担に発展するおそれがあるため、慎重に判断する姿勢が求められます。

本記事では、不動産売買でよくある手付金トラブルとその対策を解説します。

契約締結時のトラブル

買主が不動産を購入する際に支払った手付金は、買主都合で契約解除となれば売主に帰属するのが原則です。

この点を理解しないまま契約すると、契約解除で手付金が返還されずにトラブルに発展することがあります。

契約締結し、手付金を支払った後に、手付金の返還希望の相談をされる事例は多々あります。

何よりも強く言える点は、契約締結は慎重に、ということです。

買主都合での解除の場合は、支払った手付金の返還を請求できないという原則を理解したうえで、契約締結に臨む必要があります。

もちろん、相手方に債務不履行があるなどといった解除事由があれば話は変わってきますが、解除の主張は容易ではありません。

よくあるのは、残代金の決済時期に重きを置いて、契約締結や手付金支払いは、まだ「仮」の段階であるという意識がある場合ですが、それは誤っています。

契約締結後に、気が変わったから、気に入らない点が出てきたから、といっても容易に手付金の返還を求めることができないことにくれぐれも留意してください。

手付金の金額・内容に関するトラブル

宅地建物取引業法では、売主が宅地建物取引業者であれば20%以内(第39条第1項)と定められていますので、手付金の金額には制限があります。

他方、一般の個人が売主の場合は、自由に設定できます。

また、同じく宅地建物取引業法では、売主が宅地建物取引業者であれば、「その手付がいかなる性質のものであつても、買主はその手付を放棄して、当該宅地建物取引業者はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる」(第392項)と定められていて、この場合の手付はいわゆる解約手付と解されることになります。

「その手付がいかなる性質のものであっても」と定められていることからもわかる通り、手付の性質が解約手付に限られるということはありません。

例えば、契約に反した場合の損害賠償の予定として手付が解されることもあり得るということです。

そうすると、売主が宅地建物取引業者ではない場合には、契約の内容において手付がどのように定められているかが重要になります。

相手方が「契約の履行に着手した」ため手付解除もできないトラブル

また、いつまでも手付解除ができるということはなく、期間の制限があります。

まずは、契約書においていかなる定めがなされているのかを確認する必要があります。

契約書に特段の定めがない場合は、民法の定めによることになりますが、民法上、手付解除ができるのは、相手方が「契約の履行に着手」するまでの間とされています(第5571項)。

何が履行の着手と言えるかは事例次第で、過去の裁判例でも種々の事例について判断がなされています。

もっとも、手付解除を希望される場合には、どのような場合が履行の着手で手付解除と言えるか言えないかを検討しているよりも先に、手付解除の意思を相手方に伝えるべきでしょう。

まとめ

不動産売買では、契約内容の理解不足や認識の違いによって手付金を巡るトラブルに発展するケースが少なくありません。

本来は契約締結段階でご相談いただきたいところで、当事務所でも相談に応じています。

大きな買い物ですからいったん心を落ち着けていただくためにも相談は有用です。

とはいえ、多くの相談は契約締結後の相談です。

「人気の物件だから他の人に売られてしまう」、「今を逃すと損をする」などと急かされて契約締結をしてしまったが、取り消したいというご相談はよく見られます。

上記の通り、手付解除にも期間の制限がありますから、不安があれば速やかに専門家に相談してください。

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里村格弁護士

弁護士里村 格(さとむら いたる)

大阪の東天満の里村総合法律事務所に所属する弁護士です。

誠実・丁寧・公正を心掛けて,ご依頼者様にとって有益で納得できる解決を目指します。

  • 所属団体
    大阪弁護士会
  • 経歴

    2010年 京都大学法学部 卒業

    2012年 京都大学法科大学院 卒業

    2014年 弁護士登録(大阪弁護士会)

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代表弁護士 里村 格(さとむら いたる)
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