執筆者
梅田新道法律事務所 所属
弁護士里村 格
経歴
- 2005年大阪府立北野高校 卒業
- 2010年京都大学法学部 卒業
- 2012年京都大学法科大学院 卒業
- 2014年弁護士登録(大阪弁護士会)
所属団体
- 大阪弁護士会
突然、大家さんから立ち退きを求められた。急に賃料を値上げすると言われた。退去時に高額な原状回復費用を請求された。賃貸住宅や借地をめぐるトラブルは、生活の基盤に直結する深刻な問題です。
貸主側から一方的に要求されても、すぐに応じる必要があるとは限りません。借主には法律で保護された権利があります。何が正当な要求で、何が不当な要求なのか、専門家にご相談ください。
「建物が老朽化したから」「建て替えをするから」などの理由で、大家さんから立ち退きを求められることがあります。しかし、借主には借地借家法による保護があり、正当な事由がなければ、貸主からの解約や更新拒絶は認められません。
立ち退きを求められても、すぐに応じる必要はありません。まずは、その要求に正当な理由があるのかどうか、確認することが大切です。
貸主側に正当な事由がない場合でも、「立退料」を支払うことで立ち退きに応じてもらおうとするケースがあります。立退料の金額に決まりはなく、交渉次第で大きく変わります。
「出て行ってほしいから賃料を値上げしている」というケースもあります。賃料値上げと立ち退き要求がセットになっている場合は、貸主の本当の意図を見極めた上で対応することが重要です。
賃料の値上げを通告された場合、必ずしもその金額に応じる必要はありません。借地借家法では、賃料の増減は「近傍同種の建物の賃料」「経済事情の変動」などを考慮して、当事者間の協議で決めるとされています。
協議がまとまらない場合は、調停や訴訟で賃料を決めることになります。値上げに納得できない場合は、現行賃料を支払い続けながら交渉することも可能です。
退去時に「クロスの張替え代」「床の補修費用」などとして、高額な原状回復費用を請求されることがあります。しかし、通常の使用による経年劣化は、原則として借主が負担する必要はありません。
国土交通省のガイドラインでも、「通常の住まい方で生じた損耗」は貸主負担とされています。請求された金額が妥当かどうか、確認することが大切です。
敷金は、退去時に原状回復費用などを差し引いた上で返還されるものです。しかし、不当に高額な原状回復費用を差し引かれて、敷金がほとんど戻ってこないというトラブルは少なくありません。
敷金返還を求める場合は、請求された原状回復費用の内訳を確認し、不当な請求がないかチェックすることが重要です。
賃貸借契約の更新時に、更新料の支払いを求められることがあります。更新料については、契約書に明確な定めがある場合は支払い義務が生じますが、契約書に記載がない場合や、金額が不相当に高額な場合は、争う余地があります。
借地契約の更新を地主から拒否された場合でも、借地借家法により借地権は保護されています。正当な事由がなければ、更新拒絶は認められません。
借地契約が終了する際、借地上の建物を地主に買い取ってもらう権利(建物買取請求権)が認められる場合があります。
賃貸や借地のトラブルは、放置すると状況が悪化することがあります。立ち退きや賃料値上げの通知を受け取ったら、お早めにご相談ください。