執筆者
梅田新道法律事務所 所属
弁護士里村 格
経歴
- 2005年大阪府立北野高校 卒業
- 2010年京都大学法学部 卒業
- 2012年京都大学法科大学院 卒業
- 2014年弁護士登録(大阪弁護士会)
所属団体
- 大阪弁護士会
「遺言書を見たら、自分には何も残されていなかった」「兄が全財産を相続することになっていた」──こうしたケースでも、一定の相続人には最低限の取り分が法律で保障されています。これが「遺留分」です。
遺留分の問題は、相続トラブルの中でも特に感情的な対立が激しくなりやすい分野です。請求する側・される側、どちらの立場からのご相談もお受けしています。
遺留分とは、配偶者や子などの相続人に認められた「最低限の取り分」のことです。被相続人(亡くなった方)がどのような遺言を残していても、遺留分を持つ相続人は、その最低限の取り分を請求することができます。
たとえば、「全財産を長男に相続させる」という遺言があった場合でも、他の子や配偶者は遺留分に相当する金額を請求できます。
遺留分を請求できるのは、配偶者、子(代襲相続人を含む)、直系尊属(父母・祖父母)に限られます。兄弟姉妹には遺留分はありません。
遺留分の割合は、相続人の構成によって異なります。
| 配偶者や子が相続人の場合 | 法定相続分の2分の1 |
|---|---|
| 直系尊属のみが相続人の場合 | 法定相続分の3分の1 |
遺留分の問題で多いのが、「介護をしていた子が全財産をもらい、介護をしていなかった側が異議を唱える」というケースです。
介護をしていた側は「自分が面倒を見てきたのだから当然」と考え、介護をしていなかった側は「いくら介護をしていたとはいえ、全財産は不公平だ」と感じる。さらに、「介護中に親の財産を使い込んだのではないか」という疑いが加わることもあり、感情的な対立が非常に激しくなりがちです。
事業を営んでいる方が、後継者となる子に事業用資産を集中させたいと考えるケースでも、遺留分の問題が発生しやすくなります。
事業用の不動産や株式などが遺産の大部分を占める場合、後継者以外の相続人の遺留分を侵害してしまうことがあります。「事業を継いでほしい」という親の思いと、「自分の取り分はどうなるのか」という他の相続人の思いがぶつかり、トラブルに発展することがあります。
遺留分を侵害された場合、「遺留分侵害額請求」によって、侵害された分に相当する金銭の支払いを求めることができます。2019年7月の民法改正により、現在は金銭での請求が原則となっています。
請求は、相手方に対して意思表示を行うことで効力が生じます。後日の証拠とするため、内容証明郵便で請求書を送付するのが一般的です。
遺留分侵害額請求には期限があります。
期限を過ぎると請求できなくなりますので、早めのご相談をお勧めします。
遺留分の問題では、請求する側・される側のどちらの立場でもご相談いただけます。
請求する側であれば、遺留分の計算、請求書の作成、交渉や調停・訴訟への対応をサポートします。される側であれば、請求内容の妥当性を検討し、適切な対応方法をアドバイスいたします。
いずれの立場でも、感情的な対立を避け、法律に基づいた冷静な解決を目指します。
遺留分の問題は、時間が経つほど解決が難しくなる傾向があります。請求には期限がありますし、相続人間の感情的な対立が深まると、話し合いでの解決が困難になります。
また、事業承継を考えている方は、生前の段階でご相談いただくことで、遺留分トラブルを未然に防ぐ対策を講じることも可能です。
遺留分に関するお悩みをお持ちの方は、お早めにご相談ください。