執筆者
梅田新道法律事務所 所属
弁護士里村 格
経歴
- 2005年大阪府立北野高校 卒業
- 2010年京都大学法学部 卒業
- 2012年京都大学法科大学院 卒業
- 2014年弁護士登録(大阪弁護士会)
所属団体
- 大阪弁護士会
長年連れ添った配偶者との離婚を決意するのは、簡単なことではありません。しかし、子供が独立したタイミングや、配偶者の定年退職を機に、新たな人生を歩み始めたいと考える方は少なくありません。
熟年離婚では、若い世代の離婚とは異なる特徴があります。離婚後の生活を安定させるためにも、財産分与や年金分割、退職金の問題をしっかりと押さえておくことが大切です。
熟年離婚の大きな特徴は、子供の問題がネックになりにくいことです。子供がいないか、すでに成人して独立している場合がほとんどなので、親権や養育費をめぐる争いが発生しません。
若い世代の離婚では、子供が幼い場合に親権や養育費、面会交流をめぐって激しく対立することがあります。しかし、熟年離婚ではこうした問題がないため、財産面の問題に集中して話し合いを進めることができます。
熟年離婚で主に問題になるのは、財産分与です。婚姻期間が長い分、預貯金、不動産、退職金、年金など、分与の対象となる財産も多くなります。
特に自宅不動産をどうするか、退職金をどのように分けるかは、熟年離婚で特に問題になりやすいポイントです。
熟年離婚では、すでにお互いの関係に見切りをつけ、割り切った対応ができる方も多いです。感情的な対立が激しくなるケースは、子供が幼い世代の離婚と比べると少ない傾向があります。
ただし、長年の不満が蓄積している場合は、話し合いが難航することもあります。冷静に条件を詰められるよう、弁護士を間に入れることをお勧めします。
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が協力して築いた財産を分けることです。原則として、2分の1ずつ分けるのが基本とされています。
対象となる財産には、預貯金、不動産、株式、保険の解約返戻金、自動車などがあります。名義がどちらであるかは関係なく、婚姻中に築いた財産であれば対象となります。
自宅不動産がある場合、その分け方が問題になります。不動産は物理的に分割できないため、「どちらかが住み続けて代償金を支払う」「売却して現金を分ける」といった方法が取られます。
住宅ローンが残っている場合は、さらに複雑になります。ローンの残額、不動産の評価額、今後の支払い能力などを総合的に考慮して、解決策を検討します。
配偶者がすでに退職金を受け取っている場合はもちろん、まだ受け取っていない将来の退職金も、財産分与の対象になることがあります。
将来の退職金をどの程度分与の対象とするかは、退職までの期間、退職金の支給が確実かどうかなど、様々な事情を考慮して判断されます。
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を、離婚時に分割する制度です。これにより、専業主婦(主夫)の方も、婚姻期間に応じた年金を受け取れるようになります。
年金分割には「合意分割」と「3号分割」があり、それぞれ手続きや要件が異なります。
夫婦間の合意または裁判手続きによって、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を分割する方法です。分割割合は最大2分の1まで認められます。2007年4月1日以降の離婚が対象で、夫婦双方が厚生年金に加入していた期間がある場合に利用できます。
2008年4月1日以降の婚姻期間について、国民年金の第3号被保険者(会社員や公務員の配偶者で扶養されていた方)であった方が、相手の合意なく請求できる分割方法です。分割割合は2分の1と定められています。専業主婦(主夫)の方にとって利用しやすい制度です。
年金分割の請求は、離婚から2年以内に行う必要があります。期限を過ぎると請求できなくなりますので、離婚の際に忘れずに手続きを進めましょう。
熟年離婚では、財産分与、退職金、年金分割など、お金に関する問題が中心になります。離婚後の生活を安定させるためにも、これらの問題をしっかりと取り決めておくことが重要です。
「どれくらいもらえるのか」「どのように進めればよいのか」など、ご不明な点があればお気軽にご相談ください。