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事業用物件において賃貸借契約書を作成する際のポイントとは
契約書の作成時は、細心の注意を払わなければなりません。
作成においてはインターネット上の雛形を利用することもできますが、自身が扱うモノやサービスにしっかりとあった内容のものを作成しなければ、後にトラブルの原因となってしまうことがあります。
当記事では、事業用物件の賃貸借契約書の作成におけるポイントについて詳しく解説をしていきます。
契約書作成のポイント
■賃料支払いの遅延に対応する
貸主からのご相談で一番多いのは、賃料を期限までに支払ってもらえないというものです。
しかし、相談に際して、賃貸借契約を見ても、支払い遅延に十分に対応できる内容になっていないものが多数目につきます。
賃料の支払い遅延に対しては、高めの率で遅延損害金を定めておく、督促に必要と見込まれる費用を損害賠償金として定めておく、などペナルティを明確に定めておくことが非常に重要です。
賃料未払の際に早期に毅然とした対応を取ることが必要であるのは当然として、契約時に賃料未払を防ぐような内容を盛り込んでおくことも同じくらいに重要です。
賃貸借契約は非常に長期にわたることが多いので、事前にトラブル内容を想定した契約書を作成することが重要です。
一度契約を取り交わすと、賃貸借契約書の内容変更は困難です。賃貸人は、契約締結前の募集時から、望ましい賃貸借契約書を作成すべきですし、賃借人は契約締結時に通常より不利な条項がないか、検討すべきと言えます。
■使用目的・禁止事項を定める
建物を貸し出す際には、借主の営む事業についてしっかりと把握する必要があります。
また、貸主としてもその物件が、借主の事業に適したものとして利用することができるかといった点について明記をしておかなければなりません。
例えばオフィスとしてのみの使用を許可するといったような記載をすることで、用途を限定することが可能です。また、禁止事項についても細かく定めておくことがトラブル防止になります。
用途や禁止事項をしっかりと定めることによって、トラブルを予防することが期待できますし、万が一借主が契約書の内容と異なる使用をした場合には契約の解除や損害賠償責任を求めていくことになります。
■中途解約について
事業用の賃貸借契約の場合には、契約期間が長期間となることが通常ですが、借主の事業がうまくいかなかった場合には、途中で契約を解除したいと申し出があることがあります。
このような事態に対処するために、中途解約を行う場合には、事前通知をするように契約内容を決めておいた方が良いでしょう。
事業用物件の場合には、6ヶ月前と少し長めの期間で設定することが一般的なものとなっています。
また、借主が早期に解約することを抑止するために、早期解約について違約金を定めておく、あるいは賃貸借期間が長期化するほど敷引の割合を下げ敷金の返還額を多くすることで、借主の早期解約を抑止することが可能で、長期間借りてもらえる安定した借主を呼び込むことになります。
■原状回復義務
原状回復義務とは、賃貸借契約が解除された場合に、できる限り契約締結当初と同じ状態で回復させなければならないという、借主側に求められる義務となっています。
もし、原状回復が適切に行われていなかった場合には、どのような対応をするかといった点についても定めておいた方が良いでしょう。
具体的には、賃貸人が原状回復を行った場合には、賃貸人は賃借人に原状回復費用を請求することができるという旨の条項を記載しておくことになります。
不動産問題は里村総合法律事務所におまかせください
事業用に賃貸借契約を結ぶ場合には、賃料が通常の居住用の物件と比べると高価であり、トラブルが発生してしまった場合には、貸主が被る損害が大きいことが非常に多くなっています。
そのため、そのようなトラブルをあらかじめ抑止する上で、賃貸借契約書の内容をしっかりと定めておくことが重要となります。
里村総合法律事務所では、不動産にまつわる法律問題やトラブルを取り扱っております。
賃貸借契約に限らず、さまざまな契約における契約書レビューについても対応しておりますので、契約書の作成でお悩みの方は一度ご相談にお越しください。
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弁護士紹介
弁護士里村 格(さとむら いたる)
大阪の東天満の里村総合法律事務所に所属する弁護士です。
誠実・丁寧・公正を心掛けて,ご依頼者様にとって有益で納得できる解決を目指します。
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- 所属団体
- 大阪弁護士会
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- 経歴
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2010年 京都大学法学部 卒業
2012年 京都大学法科大学院 卒業
2014年 弁護士登録(大阪弁護士会)
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- 執筆・監修
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