執筆者
梅田新道法律事務所 所属
弁護士里村 格
経歴
- 2005年大阪府立北野高校 卒業
- 2010年京都大学法学部 卒業
- 2012年京都大学法科大学院 卒業
- 2014年弁護士登録(大阪弁護士会)
所属団体
- 大阪弁護士会
相続が発生すると、遺産をどのように分けるかを決める必要があります。遺言書があればその内容に従いますが、遺言書がない場合は、相続人全員で話し合って決めなければなりません。
この話し合いを「遺産分割協議」と言いますが、実際にはスムーズに進まないケースが少なくありません。
実際、「遺産分割協議が進まない」というご相談が数多く寄せられます。兄弟間で意見が合わない、連絡が取れない相続人がいる、誰が何を相続するかで揉めている…。相続をきっかけに、家族関係がぎくしゃくしてしまうケースは珍しくありません。
遺産が現金や預貯金だけであれば、比較的分けやすいものです。しかし、遺産の中に不動産が含まれると、話が複雑になります。
不動産は物理的に分割できませんし、「いくらの価値があるか」という評価額をめぐって争いになることも多いです。実家を誰が相続するか、売却するかどうかなど、意見が分かれやすいポイントです。
当弁護士は不動産会社やマンション管理会社からのご依頼を数多く手がけてきた経験があり、不動産鑑定士との連携体制も整えています。不動産が絡む遺産分割でも、適正な評価に基づいた解決を図ることができます。
「親の預金を誰かが勝手に使い込んだのではないか」という疑いが生じると、遺産分割はさらに難航します。
介護をしていた相続人が親の口座を管理していたケースなどでは、「介護のために使った」「いや、私的に流用したはずだ」と主張が対立することがあります。使い込みの問題は感情的な対立を招きやすく、解決には専門的な調査と法的な対応が必要になります。
「私は長年親の介護をしてきたのだから、多くもらえるはずだ」(寄与分)、「兄は生前に多額の援助を受けていたのだから、その分を考慮すべきだ」(特別受益)といった主張が出てくることもあります。
こうした主張は法律的に認められる場合もありますが、立証が難しかったり、金額の評価で揉めたりすることが多いです。感情的な対立が激しくなりやすいポイントでもあります。
まずは相続人全員で話し合い、遺産の分け方を決めます。全員が合意すれば、遺産分割協議書を作成して完了です。
ただし、相続人全員の合意が必要なため、一人でも反対する人がいると協議は成立しません。また、一度協議書に署名・押印してしまうと、後から内容を覆すことは非常に困難です。署名・押印の前に、内容をよく確認することが大切です。
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。調停では、調停委員が間に入り、双方の意見を聞きながら合意を目指します。
調停はあくまで「話し合い」の場ですので、相続人全員が合意しなければ成立しません。ただし、裁判所という中立的な場で、専門家を交えて話し合うことで、当事者同士では難しかった合意に至ることもあります。
調停でも合意に至らない場合は、審判という手続きに移行します。審判では、裁判官が双方の主張や証拠をもとに、遺産の分け方を決定します。
審判は当事者の合意がなくても結論が出るため、「話し合いでは解決できない」というケースでも、最終的な解決が図られます。
弁護士に依頼すれば、遺産分割協議の段階から、調停、審判まで、すべての手続きで代理人としてサポートを受けられます。相手方との交渉や裁判所への出席も、弁護士が代わりに行います。
相続人同士で直接やり取りをすると、感情的になってしまうことがあります。弁護士が間に入ることで、冷静かつ法律に基づいた話し合いを進めることができます。
「この主張は法律的に認められるのか」「調停になったらどうなるのか」といった見通しを、専門家の視点からお伝えします。先の展開がわかることで、安心して手続きを進めていただけます。
相続のご相談は、「すでに揉めている」状態で来られる方が多いのが実情です。しかし、「今は揉めていないけれど、将来が不安」という段階でのご相談も歓迎しています。
たとえば、「親が高齢になり、このまま亡くなったら兄弟で揉めそうだ」といったご相談もお受けしています。揉める前に相談していただく方が、選択肢が多く、円満な解決につながりやすいものです。
遺産分割でお困りの方、将来の相続に不安をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。