里村総合法律事務所 > 企業法務 > NDA(秘密保持契約書)の雛形・テンプレート

01

NDA(秘密保持契約書)の雛形・テンプレート

「取引先から新製品の開発に向けてNDAを結びたいと言われた。NDAとはどのような契約だろうか。」
「事業提携の検討のため秘密保持契約書を結ぶことになったが、盛り込むべき規定にはどのようなものがあるだろうか。」
このように、NDA、秘密保持契約書についてお悩みの方は決して少なくありません。

 

このページでは、企業法務にまつわる数多くのテーマのなかから、NDA・秘密保持契約書とその雛形・テンプレートをご紹介いたします。

■NDA・秘密保持契約書とは
NDAとは、Non-disclosure Agreement の略称であり、直訳すると非開示合意書となります。一般的に日本で用いられている用語にすると、秘密保持契約書または機密保持契約書がこれにあたります。NDAと秘密保持契約書に実質的な違いはありませんが、呼びやすいためNDAと言われる場面も多いようです。本ページの文中では、以降、秘密保持契約書に表現を統一しております。

 

秘密保持契約書を締結する目的は、様々です。例えば、新製品の共同開発や、新規事業立ち上げに向けた提携の開始、お互いの秘密情報を交換し合いシナジーを模索する、などといったケースがあります。契約目的の取引が様々である一方で、秘密保持契約書の役割は、文字通り相手方に秘密を保持させるということに尽きます。そのため、別の取引で用いられる秘密保持契約書であっても規定内容に大きな差はみられません。

 

もちろん、取引の内容に応じて修正が必要な部分もございますので、必ずしも秘密保持契約書であるから別の取引にも転用できるのではありませんが、秘密保持契約書においては同様の規定となるケースが多く、雛形やテンプレートを活用しやすいといえるでしょう。

 

■NDA・秘密保持契約書の雛形・テンプレート
秘密保持契約書の雛形・テンプレートを下記に記載しております。下記の雛形・テンプレートは、相互に秘密情報を開示することを想定しております。一部加筆修正を行うことでご利用いただけますので、ぜひご参照ください。

 


機密保持契約書

 

〇〇〇〇株式会社(以下、「甲」という。)と〇〇〇〇株式会社(以下、「乙」という。)とは、相互に開示する秘密情報の取扱いに関して、以下の通り本契約を締結する。

 

第1条(目的)
 1.甲および乙は、以下の目的(以下、「本目的」という。)により秘密情報を相互に開示するにあたり、本契約の規定に従って秘密情報を取扱うものとする。
 目的:甲乙間における○○〇〇の検討
 2.本契約において、「開示者」とは秘密情報を開示する本契約の当事者をいい、「受領者」とは開示者から秘密情報を受領する本契約の当事者をいう。

 

第2条(秘密情報の定義)
 1.本契約における秘密情報とは、開示者が本目的のために、以下の各号のいずれかの方法により受領者に開示する営業、技術、財産、組織他一切の情報をいう。
 ①秘密である旨を明示した書面または電磁的記録媒体等の伝達手段により開示する方法
 ②秘密である旨を明示して口頭で開示したうえ、開示後〇〇日以内に当該情報が秘密である旨を明示した書面または電磁的記録媒体等の伝達手段により受領者に通知する方法


 2.前項の規定にかかわらず、受領者が以下のいずれかに該当することを証明することができる情報は、秘密情報に該当しないものとする。
 ①開示者から開示を受けた時点で、既に公知の事実となっている情報
 ②開示者から開示を受けた後に、受領者の責めによらず公知となった情報
 ③開示者から開示を受けた時点で、受領者が既に正当に保有していた情報
 ④開示者から開示を受けた後に、受領者が第三者から秘密保持義務を負うことなく適法に取得した情報
 ⑤受領者が秘密情報によらずに独自に開発した情報
 ⑥法令の定めに基づきまたは権限のある官公庁等から開示の要求がなされた情報
 3.受領者は前項第6号に基づき、秘密情報を官公庁等へ開示する場合、可能な限り事前に開示者に対して、その旨を通知するものとする。

 

第3条(秘密保持)
 1.受領者は、事前に開示者の書面による承諾を得ることなく、第三者に対して、秘密情報を開示、漏洩、提供および本目的以外の用途で利用してはならないものとする。
 2.甲および乙は、事前に相手方の書面による承諾を得ることなく、第三者に対して、当事者間において本契約について検討ならびに交渉が行われている事実および本契約の内容を開示または漏洩してはならないものとする。

第4条(秘密情報の利用者)


 1.受領者は、本目的を遂行するため、事前に開示者の書面による承諾を得ることなく、必要最小限の役職員および従業員(嘱託等の非正規従業員を含む)ならびに法律上守秘義務が課せられている弁護士、公認会計士等の外部専門家(以下、「役職員等」という。)のみに秘密情報を開示し、利用させることができるものとする。ただし、受領者は役職員等に対して本契約と同等の義務を課すものとし、役職員等に秘密情報の漏洩防止およびその結果について全責任を負うものとする。
 2.受領者は、本目的を遂行するため、事前に開示者の書面による承諾を得たうえで、第三者(以下、「再委託先」という。)に対して、秘密情報を開示し、利用させることができるものとする。ただし、受領者は再委託先が十分な情報管理水準を有することを確認したうえで、当該再委託先に対して本契約と同等以上の義務を課すものとし、再委託先による秘密情報の漏洩防止およびその結果について全責任を負うものとする。

 

第5条(秘密情報の管理)
 1.受領者は、秘密情報について不正アクセス、漏洩、紛失、破壊、改ざん等を防止するため、本契約に定めるほか、自己の情報を管理するのと同等以上の善良なる管理者の注意義務をもって適切に管理するものとする。
 2.受領者は、秘密情報をコンピューターで取扱う場合、当該コンピューターにコンピューターウイルスの侵入を防止するための適切な措置を講じるものとする。
 3.受領者は、ファイル交換ソフトをインストールしたコンピューターまたは役職員等の私有パソコンを使用して秘密情報を取扱わないものとする。
 4.受領者は、秘密情報の漏洩を防止するため、施錠保管、入室管理、暗号化、パスワード等の情報管理体制を講じるものとする。

 

第6条(管理体制の調査)
 1.開示者は、受領者に対して事前に通知したうえ、受領者および再委託先の事業所を訪問し、秘密情報の管理体制を調査することができるものとする。この場合、受領者は、合理的な範囲内でこれに協力するものとする。
 2.受領者は、前項の結果、開示者より秘密情報の管理体制に関して改善要請を受けた場合、合理的な範囲内でこれに応じるものとする。

 

第7条(知的財産権の取扱い)
 1.受領者は、開示者から開示を受けた秘密情報に基づき、発明、考案、ノウハウ等の技術的成果を得るに至った場合は、ただちにその旨を開示者に報告するものとする。
 2.前項の技術的成果に係る一切の知的財産権の帰属および取扱いについては、甲乙別途協議のうえ、これを決定するものとする。

 

第8条(免責)
 1.開示者は、受領者に対して、秘密情報を現状のまま開示するものとし、その内容の正確性、信頼性および第三者の知的財産権の非侵害性について、明示的にも黙示的にも、何らの保証を行わないものとする。
 2.本契約は、開示者の受領者に対する秘密情報の開示を義務づけるものではないものとする。
 3.開示者は、受領者が秘密情報を利用したことにより生じた損害について、いかなる責も負わないものとする。
 4.本契約は、開示者が受領者に対して、本契約において定める以外の権利を付与するものではなく、知的財産権その他の権利の使用権または実施権を許諾するものではないものとする。

 

第9条(複製および改変)
 1.受領者は、本目的に必要最小限の範囲を超えて、秘密情報を複製または改変してはならないものとする。
 2.受領者は、秘密情報の複製物および改変物を秘密情報と同一のものとして取扱うものとする。

 

第10条(返還または破棄)
 1.受領者は、以下の各号のいずれかに該当する場合、開示者に対して、秘密情報(複製物および改変物ならびに再委託先の保有分を含む)を返還または破棄するものとする。
 ①本目的が達成または本契約が終了した場合
 ②開示者が受領者に対して秘密情報の返還または破棄を要求した場合
 2.前項の秘密情報の破棄とは、以下のいずれかの方法による処分を意味するものとする。ただし、開示者より別段の指示がある場合は、それに従うものとする。
 ①秘密情報が書面等に記録されている場合
  裁断、溶解等により秘密情報を判読不明な状態にすること
 ②秘密情報が電磁的記録媒体に記録されている場合
  秘密情報を記録する電磁データ部分について、完全消去または物理的破壊を行うことにより復元不可能な状態にすること
 3.受領者は、前項に基づき秘密情報を破棄した場合、開示者の養成があるときは、開示者に対して、遅滞なく当該処分を称する書面を交付するものとする。

 

第11条(事故)
 1.受領者は、自らもしくは役職員等または再委託先において、秘密情報に関する本目的以外の利用、紛失、破壊、改ざん、漏洩または不正アクセス等の事故が発生した場合、またはそのおそれがあると認められる場合(以下、これらを「本事故」という。)、ただちに開示者に対して、本事故の概要を報告するとともに、開示者の指示に基づき、必要かつ適切な対応措置を実施するものとする。
 2.受領者は、前項の対応措置を講じた後、ただちに開示者に対して、本事故に関する原因、結果、再発防止等が記載された報告書を提出するものとする。
 3.受領者は、本事故の発生の有無を問わず、開示者より秘密情報の利用停止に関する要請を受けた場合、秘密情報を利用してはならないものとする。

 

第12条(損害賠償)
 受領者は、本契約の違反によって開示者に損害を与えた場合、開示者に対して、当該損害(第三者に対する損害賠償金を含む)を賠償する責任を負うものとする。

 

第13条(権利義務の譲渡禁止)
 甲および乙は、事前に相手方の書面による承諾を得ることなく、本契約に定める自らの権利または義務を第三者に譲渡してはならないものとする。

 

第14条(反社会的勢力の排除)
 甲および乙は、事故およびその代表者、責任者、その他実質的な経営権を有する者が次の各号に定める自由のいずれにも反しないことを表明し、保証する。
 ①暴力団、暴力団員、暴力団準構成員、暴力団関係者、総会屋、その他の反社会的勢力(以下、これらを総省して「反社会的勢力」という。)に属しないこと
 ②反社会的勢力が経営に実質的に関与していないこと
 ③反社会的勢力に対して、資金、利益等を提供し、または便宜を図るなどの関与をしていないこと
 ④反社会的勢力との間に、社会的に避難されるべき関係を有していないこと
 ⑤自らまたは第三者を利用して、相手方または相手方の関係者に対し、詐術、暴力的行為または脅迫的言辞を用いないこと

 

第15条(有効期限)
 1.本契約の有効期限は、本契約締結日から〇年間有効に存続するものとする。ただし、期間満了の〇か月前までに甲または乙により相手方に対して書面による解約の申し出がない場合、本契約と同一条件でさらに1年間継続し、以後も同様とする。
 2.本契約が終了した場合でも、第3条(秘密保持)ないし第14条(反社会的勢力の排除)に定める義務は本契約の終了後〇年間、第16条(準拠法および管轄裁判所)については対象となる事項が存続する間、有効に存続するものとする。

 

第16条(準拠法および管轄裁判所)
 本契約は、日本法を準拠法とし、日本法に従って解釈されるものとする。本契約の履行および解釈に関して紛争が生じたときは、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。

 

第17条(協議事項)
 本契約に規定されていない事項および記載事項に疑義が生じた場合には、甲および乙は、誠意をもって協議のうえ、その取扱いを決定するものとする。

 

 本契約締結の証として、本書2通を作成し、甲乙記名捺印のうえ、各1通を保有する。

 

〇〇〇〇年〇〇月○○日

 

甲:○○県○○市○○区○丁〇〇番○○号  
〇〇〇〇株式会社           
代表取締役 ○○○○


乙:○○県○○市○○区○丁〇〇番○○号
〇〇〇〇株式会社
代表取締役 ○○○○

 

里村総合法律事務所 は、大阪を拠点として、秘密保持契約書の作成や審査をはじめとして、企業法務に関するご相談を広く承っております。
企業法務についてお悩みの方は、里村総合法律事務所までお気軽にご相談ください。

02

当事務所が提供する基礎知識

Basic Knowledge

03

よく検索されるキーワード

Search Keyword

04

弁護士紹介

Lawyer

里村格弁護士

弁護士里村 格(さとむら いたる)

大阪の東天満の里村総合法律事務所に所属する弁護士です。

誠実・丁寧・公正を心掛けて,ご依頼者様にとって有益で納得できる解決を目指します。

  • 所属団体
    大阪弁護士会
  • 経歴

    2010年 京都大学法学部 卒業

    2012年 京都大学法科大学院 卒業

    2014年 弁護士登録(大阪弁護士会)

05

事務所概要

Office Overview

事務所名 里村総合法律事務所
代表弁護士 里村 格(さとむら いたる)
所在地 大阪市北区東天満1丁目11番15号 若杉グランドビル別館8階
TEL/FAX TEL:06-6314-6617 / FAX:06-6314-6627
営業時間 平日 9:00~19:00 (事前予約で休日、時間外対応可能です)
定休日 土・日・祝日 (事前予約で休日、時間外対応可能です)